古典彫刻の迫力
襲いかかる大蛇から逃れようと体をよじり、苦悩するラオコーンとその息子たち。トロイア神官だった彼は「トロイの木馬」が陰謀であることを疑い、 木馬に槍を投げたところ地面から大蛇が現れて息子とともに絞め殺されてしまう。このエピソードをもとに作られた古典彫刻「ラオコーン群像」は 長年ローマの地に埋もれていたが、1506年に出土、センセーションを巻き起こした。激しい感情表現や非対称の構成はそれまでの彫刻にないものだったからだ。
 ルネサンス時代には、共和制のお手本として古代ローマが理想化されたため、それまで異教(ギリシャ・ローマ神話)を信仰する蛮族とされていた 古代ローマの遺跡が盛んに発掘され、教皇たちは競って出土品を集めた。ピオ・クレメンティーノ美術館にはそれら古典彫刻や古代モザイクが収蔵されている。 「ベルヴェデーレのトルソ」もこの美術館のコレクション。「ラオコーン群像」と共通する筋骨隆々とした表現は、ミケランジェロらに大きな影響を与えている。
 なお、「ラオコーン群像」の作者はギリシャ・ロードス島出身の3人の彫刻家であることがわかっており、出土する前からその存在が知られていた。 もとはギリシャでブロンズ鋳造され、ローマで大理石のコピーが作られたもの。コピーといえども素晴らしいできばえだ。