ミケランジェロが描いた旧約聖書の壮大な物語
システィーナ礼拝堂の小さな入口を入り、天井を見上げるとその一面をミケランジェロの大天井画が覆う。高さ20メートルの天井に描かれた絵の面積は、 周縁部あわせて約1000平方メートル。彼は教皇ユリウス2世にこの天井画を依頼されたとき、自分は彫刻家であり、絵画は自分の領域ではない、と一度は断ったという。 当初は天井の両サイドにキリストの12使徒を描くだけの計画だったが、構想は徐々に肥大化し、天井全面を用いて、「アダムの創造」を始め、「原罪と楽園追放」 「大洪水」など旧約聖書の9つの場面と預言者、巫女を描く結果となった。各画面はだまし絵の手法で描かれた柱などで分割されている。この広大な天井画の制作を、 ミケランジェロはたった4年で仕上げてしまった。当初は弟子たちにも分担させていたが、そのできばえに満足できず、すぐに全員クビにしてミケランジェロが ほとんど独力で描いている。最初に描いた「大洪水」などは人物が多すぎて下からではよく見えないことに気づいた彼は「アダムの創造」などでは構図を単純化、 より迫力のあるものにした。預言者ヨナの体は前出の「ベルヴェデーレのトルソ」からとるなど、いくつかの人体は古典彫刻から引用している。 ミケランジェロが古典から学んでいた証拠だ。