大壁面に世の終末を描く
大天井画の除幕式から20年後、60才近くなったミケランジェロは当時の教皇クレメンス7世から「最後の審判」の制作を依頼される。 今度は彼一人、6年の歳月をかけて完成させた。
「最後の審判」とは十字架の死から復活して天にのぼったイエスが再び地上に降臨し、天国に召される者と地獄へ落ちる者とを分ける日のこと。 ミケランジェロの「最後の審判」には中央上に審判を行うイエスが描かれる。その厳しさに、左につき従う聖母マリアもおののいているかに見える。 画面右下には地獄に落とされる人々が、左下には天国へと迎え入れられる人々が描かれる。人々は重力の存在を無視して空中に浮かび上がるように表現されている。
 大天井画から20年後に描かれたこの壁画では人物はときにデフォルメされ、筋肉などが強調される。ルネサンスの次に来る、彼自身が創始する「マニエリスム」 という様式につながるものだ。天井画ですでに盛期ルネサンス様式を極めているにもかかわらずそれを捨て、新しいものに挑戦する。 ミケランジェロはピカソにも通じる、自らの改革者だったのだ。